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  • pro-rogs.siteレポート                                      【2026年チェルサイエ速報】大判セラミックタイル、スラブ最新トレンド:大理石調から触感・マットストーンへの進化

    pro-rogs.siteレポート                                      【2026年チェルサイエ速報】大判セラミックタイル、スラブ最新トレンド:大理石調から触感・マットストーンへの進化

    皆様こんにちは。pro-rogs.site と申します。今回初めてのレポートではありますが、今後不定期ながらいろいろ建築マテリアルに関しての知見を活かしてお話しさせていただければと思います。記念すべき第1回目は・・・

    世界の建築・インテリア業界が最も注目するビッグイベント、ボローニャ国際陶磁器見本市「チェルサイエ(Cersaie 2026)」が、2026年9月21日〜25日の日程で開幕しました。

    チェルサイエ(Cersaie)とは

    イタリア北部の古都ボローニャ(BolognaFiere)で毎年秋に開催される、世界最大級のセラミックタイルとバスルーム設備の見本市です。
    東京ドーム約3個分以上(14万㎡超)の広大な展示会場に、世界各国のトップタイルメーカー、建材加工メーカー、サニタリーブランドが一堂に集結します。

    世界中から建築家、インテリアデザイナー、バイヤーなど約10万人規模のプロが集まり、「ここで発表されたテクスチャー、柄、サイズ規格が、向こう1〜2年の世界の建材トレンドを決定づける」と言われる業界の最高峰プラットフォームです。

    本記事では、大理石スラブの定番から素材本来の陰影と手触りで魅せる【クワイエット・ラグジュアリー】へのシフトや、キッチントップ・洗面造作を劇的に変える【厚型スラブ(12mm/20mm)】の台頭など、日本の設計実務・施工現場の視点で押さえておくべき主要トレンドを速報でお届けします。

    BolognaFiere位置図
    ▲ BolognaFiere(ボローニャ)位置図(広域・詳細)

    2026会場エントランス

    背景整理:チェルサイエ近年のタイルトレンド変遷(2023〜2025)

    2026年のトレンドに入る前に、直近3年間の変遷をおさらいしてみます。タイルのトレンドは急激に切り替わるわけではなく、徐々に変遷していきます。近年の進化は、単なる「柄のプリント」から「陰影・立体感・手触り」への深化の歴史です。

    2023年:「大理石鏡面の飽和」と「リブ・立体レリーフ」の夜明け

    空間全体をツヤあり大理石調で埋める手法が一巡し、フルーテッド(縦溝彫り)や波状のリブタイルが台頭。タイルの価値が「平面の柄」から「壁面の陰影をつくる凹凸」へとシフトしました。

    2024年:「クラフト感・土の質感回帰」と「中間サイズの充実」

    無機質なモダン空間への反動から、「ジャパンディ」や「ウォーム・ミニマリズム」が定着。テラコッタ調、ブラッシュドセメント調、手仕事感のあるクラフトタイルが急増。日本の住宅でも使いやすい600×1200mmや、壁面アクセント用の細長ボーダータイルのバリエーションが一気に広がりました。

    2025年:「ウルトラマット(超低反射)」と「3D触感」の完成

    照明の映り込みを抑える【クワイエット・ラグジュアリー】の浸透に伴い、完全な無光沢(ウルトラマット)が確立。目で見ても手で触れても天然の砂岩や石灰岩と区別がつかないレベルへ到達しました。

    そして2026年トレンドへ

    まずは予習として、世界のタイルトレンドを牽引するイタリア屈指のトップメーカーであるAtlas Concordeのチェルサイエまとめ動画をご覧ください。

    トレンド1:「大理石ポリッシュ(鏡面)」の後退と「触感(テクスチャー)」への移行

    かつて会場を埋め尽くしていたピカピカの白大理石(カラカッタ調等)は主役から完全に降板しました。
    現在の主流は、トラバーチン、石灰岩(ライムストーン)、砂岩、テラコッタ調、セメント系などのナチュラルマテリアルです。

    視覚的なリアルさにとどまらず、手で触れたときの凹凸(マイクロレリーフ・3Dブラッシング技術)による「温かみのあるマット質感」が会場全体のスタンダードとなっています。

    トレンド2:3Dインクジェットの同期技術が「リアル彫り込み」へ進化

    印刷された柄(石目や細孔)と、釉薬の彫り込み凹凸が1ミリの狂いもなく一致するシンクロ技術が各社で標準化されています。
    トラバーチン特有のピンホール(す穴)や割肌の陰影が、間近で見ても本物の天然石と見分けがつかないレベルに仕上がっています。

    トレンド3:大判スラブの「厚型化(12mm・20mm)」とソリッド造作の一般化

    壁・床用の薄型(6mm・9mm)に加え、キッチントップや洗面カウンター、家具天板向けを狙った12mm/20mm厚スラブ(1600×3200mm規格)の提案が目立ちます。
    特に注目すべきは【スルーベイン / フルボディ】技術の進化です。柄がスラブ内部断面まで通っているため、トメ加工(留め継ぎ)なしで小口を磨くだけで無垢石のように見せる納まりが一般化しつつあります。

    トレンド4:カラーは「アースカラー+くすみ暖色」へシフト

    白・グレーのモノトーン一辺倒やグレージュから、【ウォームトープ】、【エクリュ】、【テラベージュ】といった、より自然界の地層・土壁に近いニュアンスカラーへ移行しています。
    ベースはマットでありながら、石目の溝部分だけに光沢エナメルを流し込み、見る角度によって上品に光るハイブリッド仕上げが注目を集めています。

    【所感:欧州トレンドを日本の建築実務へどう落とし込むか】

    チェルサイエ2026で示された「鏡面ポリッシュの後退」「ウルトラマット+3D同期触感」「アースカラーへの回帰」は、単なる一過性の流行ではありません。インクジェット技術の解像度競争が終わり、「光の反射を抑え、触れて初めて分かる素材感(クワイエット・ラグジュアリー)」という本質的な質感追求のフェーズへ完全に移行したことを意味しています。

    しかし、欧州の展示会トレンドをそのまま日本の現場に直輸入しても通用しません。日本の特有の採光条件、施工環境、そして施主・管理側のメンテナンス基準というフィルターを通した実務判断が不可欠です。

    ■ 日本の実務現場における3つの具体例

    1.ハイエンドレジデンス・ホテルのエントランス壁面

    従来のツヤあり大理石(ビアンコカララ等)のような均一で強い反射を嫌い、トラバーチンやライムストーン調の「Vein Cut(柾目)」によるマットな陰影が支持を集めています。ダウンライトや間接照明のグレア(まぶしさ)を抑え、落ち着きと重厚感を両立させる設計手法が定着しつつあります。

    2.商業施設・エントランスホールの床タイル選定

    光沢鏡面タイルは、雨天時の滑り事故リスクや水滴跡・キズの目立ちが常に課題でした。超低反射マットで防滑性(Sensitech等の技術)を備えた大判タイルを採用することで、高級感を維持しながら実用上の安全基準と清掃負荷の軽減を同時にクリアできます。

    3.造作キッチン・洗面カウンター(大判スラブ)の意匠統合

    壁面タイルと同じ色調・テクスチャーを持つ12mm/20mmスラブをカウンタートップに採用し、床・壁・什器をシームレスに同色マットで繋ぐ空間構成が増加しています。

    ■ マット・3Dテクスチャータイルのメリットとデメリット

    ◎ メリット(重要度順)

    • 照明計画との親和性:間接照明やスポットライトのギラつきを完全に抑え、夜間でも品格ある陰影を創出できる。
    • 傷・汚れ・指紋の不可視性:鏡面磨きと比較して、日常の細かな擦り傷、水垢、歩行痕が目立たない。
    • 本物(天然石)を超える実用性:酸や薬品に弱く吸水率の高い天然トラバーチンと異なり、汚れの染み込みがなく防滑性も担保できる。

    ▲ デメリットおよび現場で見落としがちな弱点(重要度順)

    • 表面凹凸による目地残り・清掃性の低下:リアルな3D彫り込みや微細孔があるタイルは、施工時の目地材(特にエポキシ系や速乾性モルタル)が拭き取りにくく、表面に残存しやすい。事前の養生や、拭き取り専用ケミカルの選定が必須。
    • 日本の低照度環境での沈み込み:欧州の強い日差し下では映えるアースカラー・くすみ暖色も、開口部が限られる日本の住空間では全体が暗くくすんで見えるリスクがある。色選定時のモックアップ確認と照明ケルビン数の事前検討が不可欠。
    • 割付・加工難度:大判で凹凸を持つタイルは、現場での役物加工やコンセント開口時のチッピング(刃こぼれ・欠け)リスクが高く、施工職方の技量に仕上がりが大きく左右される。

    ■ 意匠現場での対応(推奨設計手法)

    全面を均一な3D凹凸タイルで埋めるのではなく、「目線・手触りが届くメイン壁面」に質感の高いマット・テクスチャータイルを配し、メンテナンス頻度の高い床面や細かな切り欠きが多いカウンター周りには、同色系のフラットマット(平滑な無光沢)を組み合わせる「ハイブリッド仕様」を設計スペックインの基本とすることを推奨します。

    以上が2026年タイルトレンドまとめになります。
    ※あくまでも個人的感想の部分が多いので、参考意見としていただければ幸いです。

    用語解説(注釈セクション)

    ※本文中の各用語リンクをクリックすると、ここへジャンプします。

    ▼ デザインスタイル・設計用語

    • クワイエット・ラグジュアリー(Quiet Luxury)
      「静かなる贅沢」を意味する概念。派手な鏡面磨きや金物の主張を排し、触れて伝わるマットな質感や精巧なディテール、素材そのものの品の良さで空間を構成する手法。
    • スルーベイン / フルボディ・スラブ(Through-Vein)
      スラブの表面だけでなく、小口(厚みの断面)まで柄が通っている仕様。従来の45度トメ加工を行わず、断面を磨くだけで無垢石のように美しく成立するため、カウンターや家具天板の納まりを大幅にシンプル化できる。

    ▼ カラー用語

    • ウォームトープ(Warm Taupe)
      モグラ色(茶色+グレー)に温かみを足したニュアンスカラー。グレージュより一段深みと赤みがあり、木質フローリングと大判タイルを違和感なく調和させる中間色。
    • エクリュ(Ecru)
      未晒しの麻や綿を思わせる「生成り色」。純白の眩しさや冷たさを排した、温もりのある白としてトラバーチン調タイルの主流。
    • テラベージュ(Terra-Beige)
      テラコッタ(赤土色)をベージュで淡く割ったカラー。乾いた土壁や砂を思わせる落ち着いたアースカラー。